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【朗読】63)『アミ3度めの約束』第9章 シャンバラ ②

エンリケ・バリオス著の『アミ3度めの約束』の朗読と個人的な感想です。



【文字起こし】

(漢字表記も含め全て原文のままです)


第9章 シャンバラ ②


 シルクは休むことなく、長いこと話しつづけていたけれど、彼の言ったことを要約して書いていこうと思う。

 彼が地球人だということを知っておどろいたのはたしかだけれど、つづいて彼が語ったことにたいする、もうほとんど底なしといっていいくらいのおどろきにくらべたら、たいしたことじゃなかったって、ぼくは断言できる。

 シルクはひとつの例を出して話しはじめた。


   “きみたちのような世界に住んでいるひとたちの中で、砂漠とかひとを寄せつけないさびしいところへ、自分たちの家族をひきつれてうつり住んでいくひとたちがいる。彼らはまず、その地に水をひき、穀物の種をまき、動物を飼育し、子どもを増やしていく。そして、労力と時間をかけて、住めるような場所をつくりあげていく。もっとあとになってから、その近くに別の家族が住みはじめる。だんだんひとが増えてきて、村ができ、町が、そして都市ができる。以前にはまったくなにもなかったところに、たくさんのひとが住める都市をつくりあげた。彼らは開拓者たちだよ。

 そうして、国家ができあがってくるにつれて、政府は、たいていひとのまったく住んでいない地区の開拓を進めるために、資金を出して開拓者を援助したりするものだ。国は大きくなればなるほど、もっともっと大きくなろうとするものだからね。これは人生に、人間の心に内在している傾向だよ、より大きく、よりひろがるように、より多く手に入るように、よりかんぺきに、より住みやすくなるように。それから自分たちの子孫にとってはもちろんのこと、それ以外の人々にとってもますます住みやすくなるような可能性をのこしてあげるために。

 文明世界の宇宙親交は、もっとも高い階級水準の意志にしたがって、すべては神聖なる計画のもとに、数百年ものむかしから、たくさんの惑星惑星に生命の種をまいてきたんだよ”


 これまでアミは、宇宙親交が銀河系に生命をたんじょうさせる任務を負っているなんてこと、いちども口にしたことがなかった。だから、生命はひとりでに生まれてくるものだと思っていた。でも、彼はぼくの考えていたことをキャッチした。

 「カリブールを忘れたかい?ペドゥリート」

 ああ、そうだった!二度めの旅で、アミはぼくたちをシリオの惑星カリブールにつれていってくれた。あそこは新種の植物を研究栽培しているところで、ほんの数人の遺伝技師だけが住んでいるだけだって言ってた。でも、ビンカとぼくが、“双子の魂”どうしだってわかったのは、まさにあそこでだった。だから、そのことで頭がいっぱいになって、ほかのことはまったく忘れてしまっていたんだ。

 シルクはつづけた。

 

     “宇宙親交は、さまざまな種の知的な人類からなりたっている文明なんだよ。その中には、ずっと古いむかしからわれわれと同化している種もあれば、同化してまだ歴史の浅い種もある。すべての文明が、進化したとみとめられるための条件を満たして、一定の基準まで達したときには、われわれのメンバーとしてむかえられるんだよ”


 この条件については、アミがいちばんさいしょの旅で教えてくれた。宇宙親交の仲間入りをするには、国や国境をなくし、すべての国家や民族がひとつにまとまる段階に達しなければならない。つまり、その惑星全体が、世界政府によってまとめられたひとつの国に変わらなければならない。でも、ここではっきりとさせておきたいことがある。それは、惑星の独裁政府というのもひとつの世界政府といえるけれど、宇宙親交の望んでいる世界政府とはまるで別ものだっていうことだ。ほんとうの世界政府は、宇宙の基本法――つまり、普遍的な愛――にぴったりと適合していなければならない。そして、それがもし実現できれば、もう不正も苦悩もなくなるから、そのときはじめて、その文明は宇宙親交のメンバーとして受け入れられるということを、アミははっきり言っていた。


     “そうして受け入れられた文明は、宇宙親交の援助を受けながら進歩、発展していき、ある水準に達したときには、任務をあたえられるようになる。こんどは自分たちが、まだ知的生命のいない世界の生命を改良し、援助していくんだよ”


 話はますます興味深くなってきた。


     “任務にあたって銀河系当局は、そこではたらく種にふさわしい重力をもつ、若い惑星を割り当てる。彼らは基地をつくり、それから数千年、数万年もそこに住むことになるんだ。

 きみたちは、われわれとちがった時間の観念をもっている。

 数百年まえ、わたしの民族はこの世界にやってきた。さいしょに軌道(に乗った)基地をつくり、そして地底都市をつくった。そしてここにうつり住み、そこからはっきりとした目的のもとに、生態系を改良する仕事にとりかかったんだ。もうすでに生存していた種に変化をあたえたり、新しい種をわれわれの遺伝子研究所で創造したり、別の世界からつれてきた種を地球の環境に適応させるようにしたり、それから気候や海にかかわるものにも手を入れたりした。

 われわれの民族はもともとは宇宙からきたけれども、わたしをはじめ、ここにいる大部分のひとたちは、この惑星に何世代にもわたって長く住みつづけている家系に属している。だからちょうど、みずから切り開き、たがやし、暮らしている農場を農民が愛するように、この地球をとても愛しているんだよ。なにより、この美しい世界は、われわれの先祖やその子孫、つまりわれわれじしんが住んでいるところだ。だからわれわれは、自分たちを地球人であると心から思っているんだ。われわれのほうが、きみたちよりもずっと長く、この地球に住んでいるんだからね”


 そのときぼくは、彼らがぼくたちをスパイすることをとうぜんとしているのを、はじめて理解できた。だって、“侵入者”は彼らじゃなくて、ぼくたちなんだから……。


         *

 ここでちょっと話を中断して、ずっとあとになってからぼくの海岸の家で起こったことを書いておこうと思う。

 あとになってアミが、“援助(援助については前にもふれたし、このあとでもすぐにでてくる)”をしてくれたとき、ダーウィンの『種の起源』にかんする理論について知ることができた。そしてそのとき、シルクの言ってたことを思いだして、もう少しアミによく説明してもらうことにした。

 「アミ、シャンバラに行ったとき、シルクは地球の生物の進化に干渉したって言っていたけれど、じゃダーウィンの理論はどうなの?」

 ぼくはアミが旅立ってしまう少し前にたずねてみた。

 「自然の進化というのは事実だよ」

 とアミは説明しはじめた。

 「でも、期待している結果を生むためには、はっきりとした目的にみちびかれていなければダメだ。きみたちの世界の、遺伝子研究所で進められている研究と似ているよ。たとえば、ある種の特性をもったリンゴとかウサギを生みだしたいと思う。でも、進化がひとりでにおこなわれるのを待っているわけにはいかない。だって、かならずしも期待しているふうになるとは限らないんだからね……」

         *


 シルクはまた話をつづけた。

     “そうやって、サルの進化を手だすけしたんだよ。なぜなら、人類の祖先となるのはサルなんだからね。

 現在の人類は、交配によって創りだされたんだよ。われわれの研究所で、地球のサルの遺伝子と、よその惑星からやってきたわれわれの違伝子とをかけ合わせて”

 あれを聞いたときは、全身ゾッとした。彼らがぼくたちを創りだしたんだ!……自分たちの遺伝子を使って!……。


     “そして新しくたんじょうした人類がちゃんと生きのびていけるように、ウマだとかラクダだとかゾウだとか、ニワトリやイヌといった、あとあと人類の役に立つような動物たちを創ったり改良したり、米や麦やトウモロコシや、いろいろなくだものを創ったりしたんだよ”


 ビンカとぼくは、シルクの説明を聞いてぼうぜんとした。

 キア星でも、事情はだいたいおなじだった。ただキア星のばあいは、別の惑星の人種――ぼくたちの友人のにせテリたちが属している、サリャ・サリムにおおぜいいた人種――から人類が起こったんだって、アミは言った。

 シルクはつづけた。


     “現在の人間は天と地の子であるんだよ。だから、ときには人間以下のようになり、ときには超人間的になる。動物的な本性と星の本性とが共存しているんだ”

 

 それを聞いてぼくは、多くの疑問が解けた。

 そのあとでシルクは、いままでの話を要約しようとした。


     “地球の人間を創造した目的は、新しい種の人間を創り、のちに、その人間が親交に入れる水準まで進化したときに、それに協力できるようにしてもらうためだ。きみたちが考えるように<宇宙大戦争>に協力してもらうためではなく、数えきれない文明化のための仕事や銀河系生命の改良に協力してもらうためなんだよ。

 ひとたび同化してしまえば、宇宙親交から科学的、技術的、精神的な援助が受けられる。そうするともう、苦悩や不安や死を永遠に過去のものとすることができるんだよ”


 こうして、まるで目からウロコが落ちるように、すべてが理解できた。アミがやってきたこと、ぼくが本を書いたこと、“救済計画”、宗教のほんとうの意味、そのほかのすべてのことがわかった。

 アミが旅立ってしまったあとも、その“援助"のおかげで、古代インカについて知ることができた。古代インカ民族のしていたことと、シャンバラのシルクが言っていたこととは、かんぺきに合致していたように感じた。彼らの文明は、南アメリカに住んでいたほかの先住民よりも、はるかに進んだものだった。そして、人生をもっと高い視点からより――賢明な、自然や宇宙の法とより深く同化した、まったく別の方向から――見る方法をとっていた。だから、ほかの征服者たちみたいに人々を力でなぎたおしたり、支配したりするようなことは、いっさいしなかった。インカ帝国を大きくしていく過程でおくれた民族に出会えば、保護と文明化の教えをさしだしこそすれ、彼らを奴隷化したりはしなかった。

そのかわり、彼らじしんで平和的に、帝国への統合を果たすように求めた。こんなふうにして、インカ民族は南アメリカのかなりの部分をかかえこむようになった。そこにはまるで不正というものがなく、なにより帝国のやり方は、独裁政治のそれでも圧制政治のそれでもなかった。一人ひとりの民は、手あつくはばひろく帝国から保護されていて、多くの歴史家たちは、インカ帝国で機能していたシステムにくらべると、おなじ時代のヨーロッパの国々の社会保障はまったくおくれていた、と言っている。そんなインカ民族であっても、アマゾンのジャングルに住んでいるような部族までを同化することはできなかった。なぜって、そうした人々があまりに原始的な水準にあったからだ。

 そして現在のぼくたちは、ちょうどそのアマゾンの未開人のような状態なんだ。だって、すべてを兄弟のように仲よく分け合うその高度なシステムに同化するには、ぼくたちはあまりに利己主義すぎるからね。でももし、それまでに自滅しなければ、ぼくたちが進化した世界の、つまり宇宙親交の一員になることは、必然の運命なんだ。だって、その目的のために、ぼくたちは創造されたんだから。

 そしてシルクは、ぼくたち一人ひとりには、ぼくたちの種の進化のために割り当てられた責任があり、そのために、一人ひとりが自分のおとった部分を乗りこえることが、どうしても必要になってくると言っていた。それはあくまで個人的な仕事で、個人が内的成長をとげるために努力することによってのみ、人類全体が進化していけるのだということを、とくに強調していた。

 それからぼくたちがいま、進歩発展のとても特殊な状態にあるということも。つまりそれは、人類のはじまりの時点から現在までずっとつづいていることだけど、ぼくたちの動物的本性が、星の本性の高い精神レベルより上に立ったままでいるかぎり、ぼくたちの文明のまひは、もううたがう余地もなく目の前にせまっているって。なぜならぼくたちのいまの世界は、国どうしがこれまでになく依存し合った関係にあって、大さいなんをひき起こすのにじゅうぶんなレベルにまで、つまり惑星の生命をおびやかすほどに、テクノロジーが発達しているからだと言っていた。それから、自分たちを知的とみなしている種は、つぎのようにすべきであるということ。すでに手にしているテクノロジーは、ぼくたちの惑星や文明を守り、よりよくしていくために使うようにする。そうすればすぐにでも、あらたな、すべての人々にとって平和な世界をつくりあげることができるのだそうだ。そのあとで、アミがいちばんさいしょの旅のときに言っていたこととおなじことをつけくわえた。つまり、ぼうだいな数の人命がうばわれる、その大さいがいがもし起きたばあい、彼らは新しい人類としてスタートできる進化水準に達したひとたちを救出し、保護することをひき受けるということ。

 そして、できればその大さいなんは起こらないほうがいいし、そのためには意識にめざめたひとたちみんなが、自分じしんで努力するのはもちろんだけれど、周囲のひとたちにも光をひろげるようにしなければならない、とも言っていた。

 それから彼は、ぼくたちに、自分が人類の進歩に奉仕していると信じこんでいる、少なからぬひとたちのように、“黙示録の預言者”や“死の使者"にならないようにと、とくに注意強調していた。じっさい、彼らがやっていることは、不安や恐怖や絶望の種をまくことであり、人々の恐怖心を無意味にあおる“メッセージ”をひろめることであり、それは人類の頭脳の質をさらに低下させるだけのものだから、救世の望みは、ますます小さくなっていくことになる。





 

【感想】

 「真実」が明かされました。これを現実だと信じるか、単なるおとぎ話と受け取るかは、読む人の自由です…と確認した上で、人間が誕生する前から地球には知的生命体が存在していたこと、銀河系のために人間が創られたこと、むしろ人間がインベーダー(侵入者)であること、などが証拠を示すことができないまでも、ひとつの可能性として明示されました。


 しかも、地球の人間は「未開人」の状態であり、利己的であることをやめることで「宇宙親交」の仲間入りをすることができるということです。こういわれると、現在の人間である自分を否定されたように感じて、気分が悪くなる場合もあるかもしれません。ただ、それは「雲が出ている」だけで、本質はそこではありません。平和な地球で在るために、全員で少しずつ譲り合って譲歩していく道を選択することも可能です。


 アミが言うように「個人が内的成長をとげるために努力することによってのみ、人類全体が進化しているのだということ」なのだと思います。だからこそ、自分が何ができるか、ただその一言に尽きるのだと思います。


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