top of page

【朗読】11)『アミ 小さな宇宙人』第9章 宇宙の基本法

更新日:4月2日

エンリケ・バリオス著の『アミ小さな宇宙人』の朗読と個人的な感想です。






【文字起こし】(漢字表記も含め全て原文のままです)


第9章 宇宙の基本法


 しばらくのあいだ、ぐっすりとねむったため、すっかりつかれもとれ、新鮮な気持ちで目がさめた。まるで生まれ変わったように、全身にエネルギーが満ちあふれている。

 アミはそうじゅう桿を、点検していた。

「どう、よくねむれたかい?」

 とぼくにウィンクして、こう言った。

「うん、とても最高な気分だ。アミ!おばあちゃんは?ぼくどのくらいねてたの?」

「十五秒ほどだよ」

「え!! 十五秒だって!」

 びっくりしてとび起きてまどの外に目をやった。さっきとおなじ場所におなじひとが歩いている。白髪のひとは円盤の近くで、さっきとおなじようにしゃべりつづけている。少しも前と変わっていない。

「アミ、これいったい、どうやってやったの?」

「“バッテリーを充電”するためにねむる必要があったのさ。われわれのもっている“充電器”の十五秒の“充電”で、八時間の睡眠とおなじくらいの効果があるんだよ」

「うわー、そんなことまでできるの!じゃみんな、けっしてよこになってねむったりなんかしない

の?」

「まったくねむらないというわけじゃない。われわれもときどきはねむる必要がある。でも“充電”するというよりも、夢を通してなにかを受信するという目的でね。わかる?でもわれわれは地球人のようにたくさん“放電”しないから、ほんの少しねるだけでじゅうぶんなんだよ」

「なんてことだ!人生を最大限に楽しんで五百年以上も生きて、おまけにほんの少ししかねむらないなんて……。でも、どうしてその男のひとが、五百歳だということがわかるの?」

「ああ、それは、彼の服装のそでとか、いくつかのかざりの趣味なんかでね。ちょっと彼と話してみたいかい?」


 ぼくたちは、スクリーンの前にすわった。

 アミはマイクを取り、計器盤のボタンを押した。

 男の顔が画面にあらわれ、アミはきみょうな言葉でその男と話しはじめた。それはほとんど「シューッ、シューッ」といった感じの聞きとりにくい異様な音で、すぐにアミがここにくるとちゅうでかけた例の蒸気機関車のような男の声を思い出した。

 白髪の男のひとは円盤のほうにむかって歩き出し、画面を通してぼくたちにほほえんだ。まるで目の前にいるようだった!そして、はっきりとぼくにこう言った。

「やあ、ペドロ!」

 でもぼくの耳に入る音と口の動きが一致していないことから、“翻訳器”を通して話していることがわかった。


「こ、こんにちは」

 少し緊張して答えた。

「きみたちとわれわれはほとんど親戚だっていうこと、知っているかい?われわれの先祖もずっとむかし、地球からきたんだよ」

「はあー……」

 ほかになんて答えていいのかわからなかった……。


「その文明は愛がとても不足していたために、自滅してしまったんだよ……年は、いくつかね?」

「十歳……いや九歳です。おじさんは?」

「地球の年で言うと、おおよそ、五百歳ぐらいだよ」

「でも、たいくつしないんですか?」

「たいくつ?えーとたいくつ、たいくつ?……」

 いったいどんな意味なのかという顔をした。

「頭がなにかおもしろそうなことをさがすけど、なにもすることが見つからないこと。ひまで苦しむことだよ」

 とアミが説明した。

「ああ、そうだ。もうその言葉、すっかり忘れていたよ……いやいや、たいくつなんかしないよ。どうしてたいくつしなくちゃいけないんだい?」

「たとえば、そんなに長く生きていることに対して……」

 ちょうどそのとき、ひとりのとても若くて美しい女のひとが彼に近づいてきた。そしてとても愛らしく男にあいさつした。彼も話しながら彼女をだきしめたり、キッスしたり、おたがいにほほえみ合ったりしたあとで彼女はすがたを消していた。ぼくには、ふたりはとても愛し合っているように思われた。

 それからその男はぼくにほほえみながらこう言った。

「もし、思考が、愛のために使われているとき、愛のために奉仕しているときには、たいくつというのはありえないんだよ」

 ぼくは彼が、あの美しい女のひとに恋しているものと思って聞いてみた。

「あなたは、恋をしていますね?」

「うん、ぼくはとても熱烈な恋をしているよ」

 と熱いため息をついて言った。

「さっきの女のひとにでしょう?」

「人生にさ、宇宙に、人々に、そして愛に生きていることにね……」

 こんどはまた、別の女のひとが彼のほうにやってきた。やせていて、あい色に近い絹のような黒くて長いかみをして、透き通ったみどり色の目をしていた。さっきの女のひとよりもいっそう美しく見えた。また、この男のひとは彼女をだきしめたり、ほおにキッスしたり、じっと見つめ合ったり、ほほえみ合ったりしながら、おしゃべりして別れた。

 きっとこのひとは、宇宙版のプレイボーイなんだろうと思った。

「地球に行ったことありますか?」

「うん、なんどか行ったよ。でも、ひどく悲しいところだからね……」

「どうしてですか?」

「いちばんさいごに行ったときには、ちょうど人々は、おたがいに殺し合っていたよ。それに食料飢饉もあって何百万人もの死者が出ていて、都市はいたるところで崩壊し、捕虜収容所にはたくさんのひとが抑留されていた……それは、とても悲しかったよ」

 なんだか自分が、地球という惑星の野蛮人のような気がしてきて、気が重くなった。

「地球にぼくのメッセージをもっていってくれないかね」

 とやさしく笑って言った。

「はい、もちろん。で、それはなんですか?」

「愛、統一、そして平和だよ」

「あい、とういつ、へいわ?」

「うん」

 男は深くうなずいた。


 オフィル星の別のところを見学するために、ぼくたちは彼に別れをつげた。

「アミ、あの男のひとにはふたりも奥さんがいるの?」

「いや」

「でも、ふたりの女のひととキッスしていたよ……」


「うん。でも、それのどこがいけないの?彼らは愛し合っているんだよ……あのふたりのどちらも彼の奥さんじゃない」

「いったい、彼の奥さんが見たらなんて言うんだろう?•••…」

 アミはぼくを見て笑って言った。

「文明世界には、しっとというものが存在しないからね」

「ああ……なんてすばらしいんだろう。ということは、ひとりの男のひとが、何人もの女のひとを愛せるわけだね……」

 と感動して言った。

「そんなことはない。ひとりきりだよ」

 とアミは、とても澄んだ目でぼくを見て言った。


 よく理解できなかったけど、だまってスクリーンにうつるオフィルの光景を観察することにした。


 機械が黙々とはたらいている田んぼや畑があらわれてきた。一定の間隔をおいて、さっき見た総合芸術センターがあった。ひとのまったく住んでいないところもなければ、部市のように人々の密集しているところもなかった。石や木や草花で両脇をかざられた小道や小川の橋や滝などが、はるかに見えてきた。それはまるで、日本の庭園みたいだった。

 たいてい人々はひとりではなく、数人で歩いていた。小さな道があっただけで、はばひろい車道のようなものはどこにも見あたらなかった。ちょうど、ゴルフ場で使うような小さな車で通行しているひともいた。

「自動車も、汽車もぜんぜん見あたらないね……」

「ここでは、輸送はすべて空を使っているから、そういったものは必要ないんだよ」

「ああー、だから、こんなにたくさんの“UFO”がとんでいるんだね。でもどうして、みんな、おたがいにぶつかったりしないの?」

「すべての円盤は、“スーパーコンピューター”と直結してあって、それぞれの円盤のそうじゅうに干渉しているんだ」

 アミは、コントロール盤をそうさして言った。

「これからあの岩に衝突してみよう。おどろかないでね……」

 円盤はすごいスピードで岩にむかって急降下した。岩に衝突する寸前に、軌道は地上数メートルの高さを水平に逸れていった。そのあいだ、アミはいっさいそうじゅう棹にふれなかった。


「衝突する事は不可能なんだよ。“スーパーコンピューター”が許可してくれないからね」

「うわー、すごいなー!」

 ほっとしたあとでさけんだ。

「ところでアミ、オフィルには、いくつの国があるの?」

「ひとつもない。文明世界だからね、オフィルは……」

「国がひとつもないって?……」

「ない。でも、しいてあると言えば、あると言えないこともない。オフィルというひとつの国がね」

「ふーん。じゃ、大統領は、だれなの?」

「大統領なんかいないよ」

「じゃだれが命令するの?」

「命令?命令って、ここはだれも、だれにも、命令なんかしないよ」

「でも、じゃ、だれが組織するの?」

「うん、それなら話は別だ。でもここはもう、みな、組織化し終わっている。もしなにか特別なことがあった場合、賢者たちがその分野の専門家と集まって決定したり、コンピューターにインプットしたりする。でもじっさい、ほんの少ししかすることはない。みな、計画が立てられていて、機械がほとんどやってしまうからね」

「じゃみんな、なにをするの?」

「人生を楽しく、充実して生きることだよ。楽しんだり、はたらいたり、勉強したり、奉仕したり、たすけの必要な人を援助したり……でも、われわれの世界はたいていの問題は解決ずみなので、おもに、未開文明の援助をするんだよ。でも、ざんねんながら、すべて“救済計画”の枠の中でしかできないので、あまり多くのことはできないけど。

 たとえば、“メッセージ”を送ったり、いま、ぼくがやっているように、きみのようなひとと直接“コンタクト”をもったり、愛を説いている宗教のたんじょうを“たすけたり”ね。砂漠で、“マナ(パン)”が、天から降ってきたの、知っているだろう?……(訳注:出エジプト記16章参照、モーセが、イスラエル人を、ひきつれて、シンの荒野に入ったとき、神が人々のためにパンを天からおろされたことをさしている)」


「じゃあれは、きみたち宇宙人がしたことなの?……」

「そのとおりだよ。それからまた、ある文明が自滅していくとき、高い度数をもっている人々の救済活動に参加したりとかね。……アトランティス大陸がどんなふうにして沈んでいったか、それはまったく想像を絶することだったよ……」

「爆弾のため?」

「うん。それと憎悪と苦悩、恐怖など、地球は人間のこれら否定的な放熱には、たえることができなかったんだ。もちろん、核爆弾の破裂はそれ以上にね。そして大陸全体が海の中へと沈んでいった。もし地球人がいま変わらなかったとしたら、そして原爆の炸裂や戦争や不幸がこのままつづいていったら、地球はまた、そのうちたえられなくなるだろうね。そうしたら、前とおなじようなことがふたたび起こらないとはだれにも言えないよ……」

「いちども考えてみなかったよ!」

「すべてみな、さいごには、自分たちにはね返ってくるんだよ」

「そんなに重大な責任があるとは!ぼくたちに……」

「だからこそ、われわれははたらいているんだよ」

「でも宇宙人がいることを、まったくしんじないひともたくさんいるよ……」

「そういうひとたちは、とてもむじゃきなんだよ。われわれはたんに存在しているだけでなく、地球人のすることをいつも注意深く観察しているんだ。宇宙全体はひとつの生きている有機体なんだよ。だからわれわれは、未開文明の科学の新発見を、安心して見ているわけにはいかないんだ。前にも言ったように、ある種のエネルギーの悪用は宇宙の均衡をくずすことになるし、もちろんわれわれの世界もその中にふくまれている。すべてみな、はね返ってくるんだよ。だから、われわれはなんとか、地球人がこの危後を乗りこえてくれるようにとはたらいているんだよ」


「アミ、ところで、見わたしたところ、どこにも金網がはってないようだけど、いったいどうやって、自分と他人の土地を区別するの?」

「その必要はないんだ。ここでは、すべてのものがみんなのものだからね……」

 しばらくのあいだ、考えこんだ。

「じゃだれも進歩することに、関心をもってないの?」

「いいたいことがよく、わからないな」

「ほかのひとに差をつけて、ぬけ出ることだよ」

「より高い進歩度をもつことかな?それなら、精神訓練があるけどね」

「その度数のことじゃないよ」

「じゃなんなの?」

「他人より、よけいにもつことだよ」

「よけいにもつって、なにをもつんだい。ペドゥリート」

「お金だよ」

「でも、ここには、お金は存在していないよ……」


「じゃどうやって、ものを買うの?」

「売り買いはしない。もしだれかがなにか必要なものがあったら、行ってもってくる……」

「なんでも?」

「うん、必要なものをね」

「どんなものでも?」

 耳に入ってくる言葉がとても信じられなかった。

「もし、だれかがなにかを必要とし、その必要なものがそこにある。それをもってきてどこがいけないの?」

「そのへんを走っている小さな車も?」

「うん。それに円盤もね。もし必要なら」

 とアミはこの国ではしごくあたりまえのことであるかのようにぼくに言った。

「だれでも、空とぶ円盤をもつことができるの?」

「だれでも、円盤を使うことができる」

 とアミがはっきりと言った。

「じゃ、この円盤はきみのものなの?」

「いまは、ほくが使っている。きみもそうだ」

「きみのものかどうか聞いているんだよ。アミ」

「ぺドウリート、“きみのもの”って、きみが言いたいのは所有ということだと思うけど……それは前にも言ったように、すべてのものがみんなのものなんだよ。必要なひとが、必要なものを、必要なときに使うんだ」

「じゃ使わなくなったときは?」

「そうしたら使わないまでの話だよ」

「もちろん、そうだけどね。たとえば、この円盤とおなじようなものをひとつ選んで、ぼくの家の庭に使わないときでもおいておくことはできるの?」

「どのくらい、使わないでおいておくの?」

「たとえば……三日くらい」

「それだったら、円盤をおくように指定されている“飛行場”においたほうがいいね。そうすれば、きみが使ってないときにはほかのひとが使うことができるし、きみが、そのあとで使いたいときには、行って用意されてあるおなじものを使えばいい」

「でも、どうしても、おなじものが使いたかったとしたら?」

「どうしておなじのじゃなくちゃいけないの?ここには円盤はあまっているし、だいたいみんな、似かよっているよ」

「たぶん、きみの“古い”テレビとおなじく愛着があるんだと思うよ……」

「ああ、きみがテレビと呼んでいるこの小さなものは、ぼくの小さな思い出のものだ。だれもこれを必要としないし、第一、旧式だからね。だからもう、とっておきたくなかったら、この種の仕事をしているひとのところへもっていくよ。彼らが解体するなり、修正するなり決めるだろう。でも公共物ではないから、ずっと手においておくことだってできる。でもきみがつくったわけでもなく、おなじものがあまっているのに、ひとつの円盤に固執するなんてまったく理解できないね。とてもへんな気まぐれとしか言いようがないよ。でもどうしてもその円盤じゃなくちゃ、というのなら、使用中のときは空くま

で待つしかないね」

「でも、もしその円盤をぼくだけで、ほかのだれにも使ってほしくないとしたら?」

「どうしてだれにも使わせないの?」

「たぶん、自分のものは他人に使ってもらいたくないからね……」

「でも、どうして?ここには伝染病患者はひとりもいないよ……」

「よくわからないけど、自分のものは自分だけのもので、ほかのだれのでもないのがいいんだと思うよ」

「それは所有病だよ。エゴイズムだ」

「エゴイズムなんかじゃないよ」

「じゃなんなの?寛大さかね?」

 アミは笑って言った。

「ということは、歯ブラシもみんなと共用でなくてはいけないということなの?」

「やれやれ、またもや、きょくたん論だ!……だれもきみの歯ブラシなんかに、興味をもっちゃいないよ。歯ブラシもほかの個人的な所有物もなにもひとと共用する必要はない。ここでは、ものはあまっているんだ、だれもそれにこだわったりするひとはいない。でも、円盤をひとと共用するのが、いやだとはね。そのうえ、“飛行場”では、機械が円盤を点検したり、修理してくれて、自分で、わざわざやらなくてもいいんだよ」

「いっけんよく聞こえるけどね。なにか“寄宿学校"みたいな感じがするよ。すべて義務で、いつも監視されているような感じでね……」

「ぜんぜんちがうよ。ここのひとは、もっとはばひろく、ずっと自由に楽しんで生きているよ」


「法律はないの?」

「ある。でも、例の基本法に基づいていて、すべての人々が、幸せになるようにつくられているんだ」

「じゃ、もう、そろそろ、そのすばらしい法を教えてくれても……」

「もうちょっとのがまんだよ」

 笑って言った。

「じゃ、もし、その法をだれかが破ったとしたらどうなるの?」

「とうぜん、苦しむね」

「罰したり、牢屋に入れたりするの?」

「ここには罰もなければ刑務所もない。もしだれかがなにか過失をおかしたばあい、そのひとじしんが苦しむことになるんだよ。つまり、自分で自分を罰するんだ」

「自分で自分を罰する?それ、どういうこと?アミ」

「ぺドゥリート、たとえばきみは、おばあちゃんのほおをなぐったりする?」

「なんてこと言うの?そんなことぜったいしないよ!……」

「もし、かりになぐったと想像してごらん。どう感じる?」

「そりゃ、とても心が痛むよ。とても後悔するし、たえられないことだよ……」

「それが、自分で自分を罰するということだよ。ひとが罰することも、投獄することも必要ない。たとえば、ここにはだれもしないことがあるけれど、それは法が禁止しているからしないんじゃないんだ。きみはおばあちゃんを傷つけたり、侮辱したり、彼女のものを盗んだりなんかしないだろう。それどころか、反対にたすけたり保護したりするだろう」

「うん、もちろん。だってぼく、おばあちゃんのこと愛しているもん」


「ここは、みんな、愛し合っているんだ。みんな、兄弟なんだよ」

 とつぜん、まるで、目からうろこが落ちるように理解できた。アミの説明のおかげで彼が言おうとすることのすべてがわかった。この世界の人々は、おたがいに、みんな愛し合っている大きな家族なんだ。だからみんなすべてを分かち合って仲よく生きているんだ。そう考えると、とても単純なことのようにさえ思えた。

「宇宙のすべての文明世界は、みんなおなじように組織されているんだよ」

 とアミは、ぼくがやっと理解したことをよろこんで言った。

「それじゃ、組織の基本は愛なの?……」

「そのとおり、ペドゥリート。やっとわかったね。それが宇宙の基本法なんだよ」

「え! どれが?」

「愛が」

「愛?愛が法なの?••・・ぼくはまた、なにかもっとずっとふくざつなものかと思っていたよ……」


「とても単純で、素朴で、しごくあたりまえのことのようであるけれど、これを感じ体得するのは容易なことじゃない。だからこそ進歩が必要となってくるんだ。進歩とは、愛により近づいていくということを意味しているんだ。もっとも進歩したひとが、より崇高な愛を体験し、より深い愛を表現するんだ。ほんとうの人間の大きさとは、ただ、そのひとの愛の度数によって決定されるんだよ……」

「でもどうして、そんなにたいへんなことなの?」

「うん、それはわれわれの内部には障害があって、それがわれわれのいちばんすばらしい感覚である愛を、はばんだり、ブレーキをかけたりしているんだ」

「その障害って?」

「エゴだよ。自我、自己、うぬぼれ。われわれじしんに対するまちがった考え。ニセの自分だよ。ひとにエゴがたくさん育っていると、他人よりも自分がずっと重要だと考えるようになり、人を軽蔑したり、傷つけたり、利用したり、他人の人生を支配する権利まであるように思いこんでくる。エゴは愛が育つさいの大きな障害になっているから、他人に対するいつくしみ、思いやり、あわれみ、やさしさ、愛情などを感じさせにくくするんだよ。たとえば、エゴイスト……自分以外にはまったく興味をもっていない。自己崇拝者……自分以外のだれも崇拝しない。自己本位者……自分のことしか話さない。自己

中心主義者……宇宙が自分を中心にまわっていると思いこんでいるひと。人間の進歩とは、エゴを減少させて、愛が育っていくようにすることを言うんだよ」

「じゃ、地球人は、エゴをたくさんもっているっていうことなの……」

「それは、それぞれのひとの進歩の度合いによるよ。じゃ、また、見学をつづけよう。ペドゥリー

ト」 




【感想】

 オフィル星の男の人と話したとき、オフィル星の祖先は地球からやってきた、と言っていました。その文明は愛が不足していたために自滅したとも。こうやって星同士で行き来することがある、ということも夢があるし、愛が不足していると自滅することも自戒の意味で知っておくことも大切かもしれないな、と思いました。


 高度な文明では「所有」という意識がなくて、みんなが必要なときに必要なだけ使うということが当たり前になっている、それは少し想像力が試される感じがしました。ペドゥリートと同じく、「持っていたい」「自分だけのものにしたい」という感情が無意識のうちに湧いてくるからです。それも、高次元になっていくとどんどん自然に思えるようになるのだろうな、と想像すると楽しくなってきました。


 そして、とうとう「宇宙の基本法が愛」であるとアミが明かしてくれました。愛がもし感じにくいのであるならば、それは心響学的に言うと「心の傷」があるからです。「心の傷」を癒せば癒すほど、エゴがなくなっていきます。みんなで助け合いながら、「心の傷」をいやして、愛を感じられる世界になっていくといいですね!



Comments


bottom of page